どこで見たかは忘れたが、図書館に予約を入れてから、だいぶ待ってから回ってきた本。
プロのライターさんが雑誌に書いた記事を加筆修正したもの。タイトルの「裏社会」はオーバーだが、高齢者のネガティブというか、一般的なイメージと違う面を書いた本。全体的には、きちんとした情操教育を受けなかった人たちが、高齢になって社会的な縛りがなくなってタガが外れたという感じ。
今の高齢者は、若いころ会社なり家庭や地域でそれなりに縛りのある世界で生きてきたのが、時代の変化や加齢にともなうライフスタイルの変遷により縛りが緩くなってきて本性が現れたというか、縛りの少ない世界での生き方を知らないので社会との整合が取れなくなっているという感じ。
その点、今の若い人たちは、もともと会社や家庭や地域での縛りがかなり弱い。また、目標や夢の持ちにくい時代を生きているので、年老いて残りの人生が見えてしまっても、割と順応しやすいのではないだろうか?
例えば、他人と接するのはコンビニの店員ぐらい、それ以外は一週間以上だれとも話していないという生活を、今70歳を過ぎた人たちが急に始めたらつらいだろうが、今の若い人、というか30代40代でも、そんな暮らしをしている人は珍しくないだろう。そういう意味で、あと 2-30年もすればこの本で取り上げた問題のほとんどは目立たなくなりそうな気がする。
これからさらに増えそうなのが「孤立死」。孤独死は「さみしく死んでいく」というニュアンスがあるから、最近は使わない方向だそうだ。ちなみに孤立死は明確な定義は無いが、”総じて「自宅で誰にも看取られずに一人で死に至り、亡骸が相当期間放置されていた」事例をさすことが多い”そうだ。
独身なら基本一人暮らしだろうし、歳をとっても一緒に暮らしてくれる子供もいない。働きに出ていなければ、部屋で一人で死んでしまえばだれも気付かない。そうなると相当期間たって臭いや虫で気付かれる。そんな人は増えるだろう、これから。
いや、これは他人事ではない。もし今日自分が死んだら、発見されるきっかけは、盆か正月に親戚が連絡がとれない、といって騒ぐことぐらしか思いつかない orz。
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取材した相手がストーカーとなって付きまとってきたり、不倫サイトに登録して実際に男性にあってきたりと、50歳弱の女性という、老人男性からは「若い女性」に見える著者の体当たり取材の顛末が書かれたコラムもなかなか面白かった。
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なかなか面白い本だった。内容は真っ暗だったけど。
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