水曜日, 4月 13, 2022

書評:鳴かずのカッコウ

  Twitter の TL を眺めていたら、作者の方が「冒頭、ウクライナがでてきますよ」と書かれていたので、図書館で借りて読んでみた。

 主人公は公安調査庁職員。この間終わった相棒 Season20の最終回で冠城亘が移動した先。よくわからないが、日本のスパイ組織(?)みたいなところらしい。そしてこの主人公、この職場を選んだ理由が、安定して給料が他の公務員と比べて多少良いから、という「ハコヅメ」の川合のようなこだわりの無さ。さすがに、映像型の記憶力が素晴らしいという特徴はあるがマンガオタクということでそれも相殺されそう。

 ただ、内容は地味ながら非常に現実的で、拳銃でドンパチも派手なカーアクションも無いが、普通のこの手の小説よりもむしろリアリティを感じる。サブタイトルの「An Offbeat Spy Novel」に偽りなし。文章も丁寧に書かれているし、冒頭のでっかい伏線が一つ回収されていないので、続編に期待。

 作者は元NHKの職員で、だいぶ昔に TV で見た記憶がある。そうか、あの人、今、こんな本を書いてるんだ。