月曜日, 8月 17, 2015

本:牛丼を変えた米 - 北海道「きらら397」の挑戦

 近所の図書館の新書の棚で見かけた本。最近スーパーで見かけなくなったきらら397と牛丼の組み合わせが面白かったので借りてみた。

 内容は、プロジェクトXのノベライズみたいな感じ。目次を見てもそれっぽい小見出しが並び、「大逆転」が二つもある w。出版されたのが 2004/8 なので、明らかに狙っている ww。
 
 第一章の外食産業が要求する米にきらら397がピッタリ一致した話とか、第二、三章の北国の米作りの苦闘あたりまでは面白かったのだが、品種改良の細かい話になってくるとだんだん面白くなくなってくる。 

 著者は科学的な分野の説明は向いていないのではないだろうか?
 
 本の中には、稲の系統図が少しある以外は図や表、地図、写真がない。葯培養の辺りは図解すればかなりわかりやすくなると思うのだが、文章だけの説明なのでイマイチよくわからなかった。
 また、DNA マーカーの説明では、DNAや遺伝子を「切った貼った」できるようにも読めるが、正確には「効率よく選び出す」だろう。
 
 また、多くの試験材料から見込みのないものを「捨てる」ことを「投げる」と書いてある部分がある(pp140)。多分、北海道の試験場で取材したテープの書き起こしから文章にしたのだろうが、ちょっとお粗末 w。
 
 そのせいかどうか、著者はノンフィクションライターとしては生き残れなかったようだ

 ということで、内容よりは文章の方に目が行ってしまった一冊。
 
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 昨日、いつも行くスーパーで調べたのだが、米売り場にきらら397はなかった。目立つのは「ななつぼし」や「ほしのゆめ」。きらら397は、平成14年産の北海道の作付け面積は64%だったというのに。外食産業向けに流通していて、スーパーに並んでいないだけかもしれないが、わずか10年でこの様変わり。
 
 農業の世界も変化が早い。
 
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 ちなみに自分は、きらら397はいまひとつおいしいと思えず、当時は「あきたこまち」を食べていた記憶がある。いまは「ななつぼし」を食べているのだが、これは「ササニシキ」の系統だそうな(きらら397、「ほしのゆめ」は「こしひかり」の系統)。

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