「獣の奏者」の著者上橋菜穂子の新作。新作といっても初版が 2014/09、図書館に予約を入れたのが 2015/04、手元に届いたのが 2016/01。上下巻合わせて 3,200円(税別)惜しさに一年半近く待てるのだから、オイラは著者のファンではなさそう。5年前には獣の奏者の 3 ,4 を三日間で立ち読みしていたのだが...
本の帯に養老孟司が
「冒険小説を読んでいるうちに、医学を勉強し、さらに社会を学ぶ。一回で三冊分」
と書いているが、まさにそんな感じ。内容てんこ盛り。
いろいろな氏族が出てくるが、今の中東や戦国時代の日本が思い出される。
薬については、ワクチン・抗生物質・抗菌薬・血清と一通り詳しく説明しているのに、病の原因の説明では遺伝的要素がでてこない。前半では顔つきであっちの民、あっちとこっちハーフとか書き、人間は一人ひとり同じで違うと書いているので、遺伝子レベルの話は意図的に書かなかったとのだと思うが、その作者の意図を考えるのも面白い。
また、いろいろな苔を集めて薬を作るというのは、去年の大村さんのノーベル賞受賞を先取りしているよう。
ラストは、サブタイトルと合わせて希望が持てる形。獣の奏者のラストは書きすぎた感があった。小説としてはこちらのラスト方が良いのではなかろうか。
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