地元の図書館の Web サイトにはマイ本棚というのがあって、タイトルを付けて自分の選んだ本のリストを作ることが出来る。3ヶ月のニュージーランド旅行に行く前に図書館の予約を全部キャンセルしてしていったので、旅行から戻ってきてマイ本棚の「借りる予定」から3冊を予約して、まわってきたので読んだ。ちなみにリストへの登録日は2019/08/10。なんで登録したのかは全く覚えていない。
ドキュメンタリー風のフィクション。電通という会社がどういう成り立ちで、どういう会社で、どんなことをやってきたかが書かれている。相当悪いこともしているのだがそこはフィクションということになるのだろう。しかし、関係が事実に基づくと思われると思われる会社は実名で、良くないことをしていると思われる会社は架空の名前で出てくるのだが、元の名前がバレバレの名前で、洋酒メーカーの名前がカントリーだったり、家電の2流メーカーの本社が三田だったり、メインキャラの出身大学が西北大学だったり。フィクションと言いつつ、ほとんどは本当にあったような話に読める。まぁ、当時であればそれぐらいやってても全く不思議な気はしないが、それにしてもよくこんな内容の本が出せたなぁと思ったら、その答えは解説にあった。最初K出版で出す予定だったが、重役からのダメだしで流れ、それで三一書房から出たそうな。なるほど、三一書房なら電通からの圧力に負けない気がする。
ラストで登場人物の一人が、電通はいずれ分割され今のような横暴さは許されなくなるだろう、と語っているが、それから40年以上経った今も電通は巨大なままらしい。
この本のラストでは昭和56(1981)年1月12日の出来事が書かれていて、物語はその一年前から始まっている。自分が生まれたのが昭和39(1964)年なので、16歳から17歳のころのことが書かれていて、実に懐かしく読んだ。最後の方に出てきたエリナ化粧品は本当の名前もCMもはっきりと覚えている。あと、缶入りのショートピースとか、パイプをくわえたままエスカレータに乗るとか、タクシーでタバコを吸うとか、飛行機のなかでパイプに火をつけるとか、連絡を取るために勤め先や自宅に電話するとか、自分にとっては懐かしい話だが、今の若い人にとってはローファンタージのように見えるのではないだろうか?
この本、最初にいろいろな人の名前が出てきたので、まじめにメモを作っていったのだが、実際に出てくる人物はそれほど多くはなく、326ページを実質5時間で読み終わった。なかなか面白かったし、読みやすかったし、この著者の本をもう少し読んでみようか?
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