土曜日, 1月 17, 2009

[本]Googleを支える技術  巨大システムの内側の世界


 去年の秋ぐらいに購入。読みやすい日本語で書いてあるのだが、何せ説明している内容が難しいので3章まで読んだところで頭が爆発して挫折。年が明けてから読み直して読了。後半 「google の運用コスト」「google の開発体制」は推測の部分が多くてちょっと歯切れが悪かったが、google が公開していないのだから仕方あるまい。
 
 書評を書こうと思って目次を読み返してみたが、前半はすっかり忘れてしまっていて Bigtable とか Chubby とかがなんだったかさっぱりわからない (^^;。
 印象に残っているのは google のソフトウェアが拡張性と耐障害性にウエイトを置いて考えられていること。ひとつの処理が何千台ものサーバーに分割されて処理されると、当然にそのなかの何台かは壊れる。MTBF が1000日(3年弱)のサーバーが 5000台あれば、毎日5台ずつ壊れる。何千台ものサーバに処理を分散して、なおかつそのサーバーのうちのいくつかはランダムに必ず壊れることを前提にソフトを作る。いやぁ、ゾッとしますなぁ。
 
 以前無い知恵を絞って二枚の CPU ボードーを使って、一枚がホットスタンバイしているシステムを作ったことがある。同じものが二つ、分散処理ではなくホットスタンバイ、それだけでもえらく大変だった。何千ものサーバーを、壊れることを前提に使いこなすなんて、やっぱり並の頭じゃ無理なんだろうなぁ、と感じ入った次第。
 
 ただ、内容に一箇所怪しいところがあった。pp.197 の CMOS の動作説明。「ゲートが開き、キャパシタに電荷が蓄えられて回路の電位が Vdd に等しくなります。」CMOS のインバーターは DRAM じゃないんだからゲートを開いてキャパシタに電荷を蓄えたりしない。ついでにいえば、動作周波数の上昇とともに CMOS の消費電力が増えるのは貫通電流が流れる回数が増えるからだと思ったけど、最近は違うのだろうか?

 筆者はソフト畑の人みたいなのでちょっと怪しい。出版社がCQ出版社なら信用する気にもなるが、技術評論社なのでハードがらみはちょっと (^^;
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 それにしても。

 この本は基本的にグーグルからの公開情報を元に書かれている。ということは、その気になれば誰でも書ける、はず。書けないまでも(英語が読めれば) web 上で筆者が基にした情報はすべて手に入る(注釈で URL も書かれている)。実際 HDD の信頼性に関する論文は翻訳されて日経エレクトロニクスに掲載された。

 ネットで情報がタダで手に入るようになっても一手間(?)かければまだ金になるということか。

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