土曜日, 6月 06, 2015

本:内側から見たテレビ

 サブタイトルが「やらせ・捏造・情報操作の構造」。テレビに対して否定的な内容だが、「絶望のテレビ報道」とか「テレビは見てはいけない」よりずっとまとも。

 著者は地方テレビ局入社->海外特派員->テレビキー局入社->大学教授というちょっと変った経歴の持ち主。ドキュメンタリ番組作ったり、戦地の取材にいったり、ニュース番組のキャスターやったりといろいろやっている。 

 書かれている内容は、いや、まったくそのとおりで、それゆえ広告収入依存もしくは公共放送としてのテレビは、先はないのではないだろうか?と思えてしまう。
 
 ちょっと気になったのは、弱者の気持ちを考えるのが大事、といいつつ、世間や政治家から「怒られない存在」を目指しては不味い、と説いている。
 
 結局はここらあたりのバランス感覚の問題なのだろう。
 
 ここ数年、「笑点」を欠かさずに見ている。ずっと若い頃は見ていたのだが、まだ 40分番組だったころから見なくなり、なぜかここ数年は毎週楽しみにしている。
 なぜだろう?と、気になっていたのだが、この本を読んでいてハタと気付いた。あの大喜切りは言葉狩りから逃れている。盗人がいて、仕事がない人がいて、馬鹿がいて、いい年をした独身男がいて、ジジィに罵声を浴びせ、性別越境者がいて、それぞれ笑いを取る。
 
 ある意味、現在のテレビにおける奇跡だ。
 

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