日々の徒然を

水曜日, 7月 06, 2016

本:世田谷一家殺人事件 - 15年目の新事実

 こちらのサイトでこの本を知り図書館に予約を入れ、ようやく回ってきたので読んでみた。
 
 最初事件の詳細が語られるが、相当に凄惨な事件だったらしい。それを著書が追い、犯人や事件の背景を暴き出してゆくのだが、その書き方が安っぽいミステリーみたいな感じ。
 
 いや、文章はうまいのだが、話が都合よすぎる。頻繁に情報を提供してくれる「長年にわたり、韓国の暗黒街に身を置いていた知人のA氏」(pp13)はなぜこんなに積極的に著者に協力してくれるのか?日本のみならず海外でも犯人と目される人物の足取りを追えるのはなぜか?どうして「ある警察本部の元鑑識課指紋担当官、「指紋の神様」と呼ばれた鑑識 OB を韓国に派遣」(pp136)できるのか?著者が日本や海外を動き回る資金はどこから出ているのか?などなど、小説であれば突っ込みどころ満載である。
 まぁ、そのあたりは取材活動を続けるために、あえてボカしているのかもしれない。 

 しかし、どうしても辻褄があわない点が一点ある。実行犯とされる男は、韓国生まれの韓国育ちで「彼は生まれつき頭の回転が遅く、周囲から馬鹿にされ、家庭的にも疎まれて育ったことが分かっている」(pp120)。しかし、犯人は犯行現場で家の中をひっく返し、書類を浴槽に捨て、2000年の年賀状を持ち出し、パソコンから劇団四季のチケットを予約しようと試みている。日本語が読めると考えるのが妥当だろう。会話が出来る、ではなく「読める」である。そして、事件後、紆余曲折を経て裏の社会では名の知れた殺し屋になっていく。
 生まれつき頭の回転の遅い男、では辻褄が合わない。
 
 あと、犯人と目される男は2009年10月から2010年1月まで日本に滞在していて、その間警察当局の監視下に置かれていたそうである。3か月以上行動を監視していたのなら(証拠として使えない形でも)指紋を取ることは可能だろう。犯人の指紋ははっきりしたものが取れているので、照合して一致すれば別件で逮捕してキチンと指紋をとれば正式な裁判に持ち込める。
 
 犯人と目される男は、日本で病に倒れ、中部地方の廃寺の裏側の草地に葬られているそうな。であれば、骨を掘り出して DNA 鑑定をすれば犯人かどうか確かめられる。
 警察の未公開情報である犯人の指紋図を入手し、公式には拒否している韓国政府に裏から手を回して指紋照合をやってのける著者ならば、それぐらいのことはできそうな気もするのだが。


 読み物としては面白かったけど、内容は今一つ信じきれない...

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