木曜日, 7月 31, 2025

本:一橋桐子(76)の犯罪日記

  「ひとりでしにたい」のドラマ版の松坂慶子を見て「愛の水中花」からずいぶん変わったなぁと思ってネットをいろいろ調べていたら「ひとりでしにたい」と同じドラマ枠で松坂慶子主演のドラマがあることを知った。それが「一橋桐子の犯罪日記」。「ひとりでしにたい」はアマプラで見られたのだが「一橋桐子の犯罪日記」はない。原作が図書館にあったので予約したらすぐまわってきたので読んだ。 

 最高気温が30℃を超える暑い日だったので、自治体のクーリングシェルターにもなっている図書館で読み始める。午後から読み始め、いったん自宅に帰って食事を取り、また図書館にもどって閉館までよみ、さらに家にもどって結局一日で一気読み。いままで読んだことのないタイプの小説でなかなか面白かった。社会に出て働いていた親の介護のために仕事をやめ、結婚もせず子供いない主人公の桐子さん(76歳)。同居していた親友が病気で亡くなった後から物語が始まる。老後に不安を感じる中、テレビのワイドショーで、刑務所では老いた受刑者が若い受刑者に介護されていると知り、安心できる老後のために、他人に迷惑をかけずに確実に長期間刑務所に入る方法を考え始める。そして...、という話なのだが、目次には万引、偽札、闇金、詐欺、誘拐、殺人という言葉が並ぶ。最初の章でしっかり万引きして捕まるので、このまましっかり殺人まで行くのかという期待と、いや、この人の良いおばあさんにそんなことさせたくないという不安が同時に湧き上がる。そして偽札は際どいところで無事失敗、そのあとはネタバレになるので避けるが、闇金、詐欺、誘拐、殺人となかなか楽しませてもらえた。なにより主人公の桐子さんが今の松坂慶子にあてがきしたのではないかというぐらいぴったりハマっていて頭の中で映像化しやすく、それも面白く読めた理由の一つだと思う。

 そういえば、働いた経験あり、親の面倒を見るため離職、結婚歴無し、子無しって「ひとりでしにたい」の鳴海が将来なる可能性もある状況。そのあたりの世界線が今のフィクションのはやりなのかもしれない。
 
 この著者の別の本も読みたいと思ったのと同時に、巻末にある参考文献「老人たちの裏社会」「万引き老人」「熟年売春」も読みたくなってきた。読みたくなっては来たが61歳の自分にとっては中途半端にリアルでちょっと怖い ><
 

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