土曜日, 8月 27, 2011

本:葬られた「第二のマクガバン報告」(上巻)


 amazon の「乳がんと牛乳」のページのお勧めに出てくるので図書館から借りてみた。

 本の裏表紙を開いたところに訳者の写真があったのだが、その顔に見覚えが。略歴を読むと、この本の著者。この時点で信頼度 -30% (w

 内容は長年にわたる動物実験や各種論文や調査の結果、動物性脂肪は発ガン率を上げるので食べるのはやめましょうというもの。一見筋が通っているのだが、冷静に考えると大きな突込みどころがいくつか。

 発がん性物質を与えたネズミに、片方に動物性たんぱく質が20%、もう片方には動物性たんぱく質が5%のエサを与え続けたら、一定期間後に片方は 100%癌(or その前駆細胞)が見つかったが、片方にはまったく見つからなかった。100対0 だ。だから発がん性物質の有無より、摂取する動物性たんぱく質の量が問題だと。
 しかし、この結果が人間にもそのまま当てはまるのなら、今の世の中発がん性物質は、ありとあらゆるところにあって避けられないのだから、動物性たんぱく質過多の食事をしている人は100%と癌になり、ベジタリアンは 100%癌にならないのでは?

 1980年前後に中国で大規模な調査をして、そのときの調査結果がこの本の主張のバックボーンになっているのだが、1980年時点で、中国の平均寿命は 66歳、アメリカは 73.7歳。中国での癌の発生率が少ないとしたら、「アメリカ人は中国人より長生きして年寄りが多いから、その分癌の発生率が多いのでは?」と普通に考えるのだが、それについての考察は一切なし。

 さらに言えば、植物性たんぱく質と動物性たんぱく質は分けているが、動物性たんぱく質については乳製品とそうでないものを分けていない。「乳がんと牛乳」の原著が 2001年に出ているのに、2005年に原著が出ているこの本がそれについてまったく触れていないのは片手落ち。

 長年肉食を続け、桁外れのデブに太った人たちが元気に飛び回っているアメリカ人と中国人を比べるのは無理がありすぎるんじゃあるまいか?

 ということで、2/3 ほど読んだところで後は流し読み。参考文献もたくさん書かれているが、全部英語で追う気にはとてもなれない。

 中身はほとんど信用できないが、それでもなんとなく肉や魚を食いにくくなってしまった。読まなきゃ良かった。

 
 

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