木曜日, 2月 15, 2018

本:ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

 どこで見つけたかは忘れた。著者がペイパルの創業者の一人で、投資家としてかなり成功している人だそうで、それで読んでみようと思ったのだと思う。図書館で借りてきた。

 日本語版序文は日本人の推薦者が書いているのだが、これがなかなかの出来ですっかり期待したのだが、本文最初の「はじめに」の一番最初を読んで軽く吹いた。
 
 「ビジネスに同じ瞬間は二度と無い。次のビル・ゲイツがオペレーティング・システムを開発することはない。次のラリー・ペイジとセルゲイ・プリンが検索エンジンを作ることもないはずだ。次のマーク・ザッカーバーグがソーシャル・ネットワークを築くこともないだろう。彼らをコピーしているようなら、君は彼らから何も学んでいないことになる。」

 マイクロソフトは最初の OS を他の会社から買ってきたし、google は検索エンジンとしては後発だ。フェイスブックも SNS としては新しくもなんともない。サブタイトルが「君はゼロから何を生み出せるか」の本の冒頭がこれでは先が思いやられれる。


 まぁ、この本は著者の大学での講義が元になっているそうだが、講義で多少怪しい内容があったら、なおせばよかろうに、と思ったのだが、読み進めていくとかなりずれているというか、突っ込みどころ満載。
 
 これはあんまりだろうというところに付箋を貼っていったのだが、その数10を超えた。著者が成功者でなければ「変な人」の書いた本で終わらせて良いのだが、今現在シリコンバレーで成功している投資家のノウハウ集と考えるとそうもいかない。
 半分ぐらいまで読んでようやく気付いたのだが、私にとってはタイトルの Zero to One とは新しい技術的な発見なのだが、著者にとってはどうやら新しいビジネスモデルの発見のことのようだ。
 
 読み終えて考えた結果、この本はユニコーン企業(企業としての評価額が10億ドル(約1250億円)以上で、非上場のベンチャー企業を指す)を目指すぐらいの起業家、あるいはそこまで育ちそうなベンチャ企業を探している投資家向けの本ということだろう。相当偏った考え方で、普通の人にはあんまり役にたつとは思えない。
 それでも 9.ティールの法則、10.マフィアの力学、11.それを作れば、みんなやってくる?あたりはちょっと面白かった。
 
 あと、13.エネルギー2.0 後半の、テスラについての強引なポジショントークは見事。ここまでに書かれたことの演習問題というところか。
 
 読むのに時間がかかったしあまり面白くもなかった割には、最後まで読まされて得るものが少なかった、読まなきゃよかったに分類される本ではある。

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