火曜日, 3月 19, 2019

本:世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」

 どこで見つけたかは忘れたが、図書館に予約を入れた本。どれぐらい待ったかも忘れた。たぶん、タイトルに惹かれたのだと思うが、なかなか面白い本だった。

 話は「修士号、博士号を授与できる世界で唯一の美術系大学院大学」がここ数年「グローバール企業の幹部トレーニング」をビジネスとして拡大している、ということから始まる。

 なぜかというと、現代は VUCA(不安定、不確実、複雑、曖昧の英語での頭文字)の時代で、今まで有効だった「論理」と「理性」で突き詰めていってもビジネスで勝てないから、ということが説明されていく(VUCA だけが理由ではないのだが)。特に、バブル崩壊あたりまでの日本は、欧米に追い付き追い越せでやってきたので「論理」「理性」でやってきたが、すでに「論理」「理性」を突き詰めるやり方はコモディティ化してしまって武器にはならない、あたりの話を実例を交えて詳しく説明してくれる。そこで必要になるのが「直感」と「感性」だが、この二つは「アカウンタビリティの格差」のせいでいままでは主役になれなかったが、それではこれからのビジネスでは成功できないと説く。
 
 「直感」と「感性」が重要だということがわかったが、それがなぜアートと結びつくかは最後の章で説明がある。「アート」ど素人の私が考えていたアートとは違う話が出てきた。これならうまく選べばマンガや音楽 - ポップスや歌謡曲、あるいは演歌でも十分いけそうな気がしてくる。
 
 久しぶりに手元に置きたくなった一冊。みんな考えることは同じらしくて、Amazon の中古の価格が半分まで下がっていない。
 
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 それにしても著者は博識。例として取り上げた題材が非常に広範囲に及ぶのだが、王立宇宙軍 オネアミスの翼の一節まで引用されているのには驚いた。いったいどれだけ本を読んで(そして、アニメも見て)、しかもその内容を覚えているのだろう?

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