土曜日, 4月 06, 2019

本:朝鮮半島201Z年

 米韓同盟消滅の最後にちょっと出てきた本。出版が2010年とちょっと古いので読むのを躊躇っていたのだが、読みたい本がなかったので、図書館から借りてきた。
 
 この手の時事ネタ本は、古くなると、経緯をひも解くにはよいが、読み物としてはイマイチになることが多いのであまり読まないのだが、これはなかなか面白く、寝る時間を削り仕事もせずに、500ページ近い本をほぼ24時間で読み切ってしまった。
 
 形式はちょっと変わった小説という感じ。架空のマスコミの報道と、登場人物たちの会話で進んでいく。情景描写や心理描写はほぼない。これは著者が小説家ではなく、ジャーナリストだからだろう。



 内容は朝鮮半島情勢の将来の数年間の動き。過去の出来事から推測していくもの。もちろん現状とは違うが、同じように動いた部分も多々ある(北朝鮮核施設の爆撃寸前までいったとか)。そのまま当てはまるには無理がある出来事(仁川近くの海域で朝鮮・北朝鮮間の小競り合いがあり、流れ弾で民間の輸送機が墜落するとか)もあるが、起きても全然不思議ではない設定(韓国通貨危機)も多く、朝鮮半島のこれからを予測する参考になった。

 ラストはちょっと拍子抜けだったが、作者は小説家ではないし元々エンターテインメントを狙った本でもないので仕方あるまい。ただ、今の情勢を見ていると現実的になる可能性が決して低くはないラストだった。
 
 あと、「専門家」同士のネットワークやそこからの情報が記事になる過程が垣間見えて、これも面白かった

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