口内や足の水疱が裂けると痛みでエサが食べられなくなったり、歩けなくなったりしてやせ衰えるが、それでも死ぬのは成長した動物なら数%程度。その上、農林水産省は「人には感染しない。感染した牛や豚の肉や乳を口にしても人体に害はない」という。
それでは、なぜ政府は口蹄疫の封じ込めに躍起になっているのか。一番の理由は、家畜の経済的な価値の下落だ。病気にかからなくともどのみち殺して食われるわけだが、ほとんどの成獣は病気で死ぬわけでもないのに、金のためだけに殺されて埋められるとは。
「口蹄疫の経済的なインパクトは強い。最も警戒すべき家畜伝染病の一つだ」。農水省の疫学調査チームの明石博臣東京大大学院教授(動物ウイルス学)はこう解説する。
家畜が次々にやせ衰えれば商品価値が落ち、高品質が売りのブランド和牛などは価値を失う。国内外の消費者の和牛に対するイメージも落ちる。「日本の畜産にとって経済的ダメージは計り知れない」(畜産関係者)といい、最近では宮崎県から遠く離れた関東地方の畜産農家からも「人ごとではない」と不安の声が上がるようになった。
人間とはつくづく勝手な生き物だ。
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