木曜日, 3月 05, 2009

本:国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

 著者の佐藤優氏が文芸春秋で連載していた「インテリジェンス交渉術」を読んで、著者の他の本も読みたくなり図書館で借りてきた。

 久しぶりに時間を忘れて読んだ面白い本。「銃・伝染病・鉄」も面白かったが、あれは少し難し過ぎた (^^;。

 内容は、2002年5月に背任容疑で逮捕たことに関してや裁判、2004年10月までの512日間の勾留生活について書かれている。逮捕に関する経緯は下手なスパイ小説顔負け、検察官の取調べや法廷闘争は法廷小説、勾留生活は獄中記として一粒で何度でも美味しい。
 拘置所での官費支給の食事がなかなか美味しく、正月にはビーフステーキや鰻の蒲焼が出て、「しかし、胃袋が少し疲れてきた。いつもの拘置所の食事が懐かしくなってきた。」というあたりはちょっと笑える。この人、外交官として大使館勤務もあるのだから、仕事とはいえ色々と高級な料理を食べたことがあるはずなのに。
 
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 この本を読む限り、著者や鈴木宗雄氏は非常に有能な外交官で政治家であるように思える。

 著者はいまだ刑事被告人なので、その主張を一方的に信じることは出来ない。が、逆に言えば叩かれやすい立場にいるわけで、本書の内容に怪しいところがあればいろんなところから攻められるはずである。実名でそうとう酷く書かれている人も多いので、明らかなウソがあればそういう人たちが黙ってはいまい。
 それでも、その種の反論や名誉毀損で訴えられたという話は聞かない。それどころかこの本以降かなりの本を出している
 
 そのせいか、佐藤氏と鈴木宗雄氏が逮捕されず、あのまま活躍していればサハリン2なんかでも、あそこまで酷い失態は晒さなかったろうにという気がしてくる。
 
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 本書の中で、「好きなこと」と「できること」という言葉が何度かでてくる。著者にとっては外交官としての仕事は「できること」であって「好きなこと」ではないそうだ。「好きなこと」でなくてもこれだけのことが出来るとは羨ましい限りである。ま、凡人のオイラがそんなことを羨んでも仕方ないのだが。

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