前々から気になっていた本。図書館から借りて来て読んだ。久しぶりに知的好奇心をくすぐる面白さのある本だった。
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有史以前から強い国と弱い国があって侵略したりされたりしていたのだが、その答えがあるらしい、と聞いていた。
筆者が本を書いたきっかけは、昔、ニューギニアの知人に「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんど無い。それはなぜだろうか?」と問われたことだそうな。
筆者は最後の氷河期が終わった一万三千年前から話を進める。これは意外だった。そこから考古学のみならず、遺伝子のつながりや使われている言語のつながりなどの(当時の)最新の科学を総動員して地域ごとの進化というか変化の違いを追っていく。
私自身は地理や歴史に弱いので、わからない言葉や地名がたくさんあり、地図やら歴史の教科書やらを引っ張り出したくなった。それでも科学的な話の展開に無理が無かったので違和感なく読めた。
高校時代にこんな本を読んでいたら歴史が好きになっていたかも。いや、高校時代では基礎知識が足り無すぎる。もう少し大人、30前後の方が面白いだろうか。
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技術の発展・普及・衰退についての考察は、エンジニアとして勉強になった。
蓄音機を発明したエジソンが、「蓄音機の主要な用途は、音楽の録音再生にあたることをしぶしぶ認めたのは、発明から約20年たってからのことだった」そうだ。
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エピローグの中に、世界中に植民地を広げたのはなぜ中国ではなくヨーロッパなのか?の考察がある。それによれば、中国はコロンブスがたった三隻の船団をアメリカ大陸東岸に到達させるほんの何十年か前に、数百隻で編成された大船団をアフリカ大陸に送っていたそうである。そのまま行けば、中国が世界中の大陸を植民地化しそうなものであるが、そうならなかったのは、中国内部で政変があり、船団の派遣が取りやめられ、造船所も解体、外洋航海も禁じられたからだそうだ。
もし、中国がそのまま海外に勢力を広げていたら、日本も今の形にはならなかっただろう。
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この本を読んでいて、ふと、これを地球という括りではなく、宇宙という括りに広げたらどうなるかと考えた。
地球という「島」の住民は、いまだ筏を使って目の前の小さな無人島まで行くのがやっとのようだ。やがて遠くまでいける船を作って広い世界に生活圏を広げていくのか、自分たちより進化の速い別な「島」の人類に征服されてしまうのか、この「島」から出ることなく暮らしていくのか、環境の変化に耐えられず、外に出ることなく絶滅して行くのか...。
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上下巻あわせて600ページのボリュームはちょっと多すぎるがかなり面白い本。
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