より短い時間軸で表現するならば、一週間に平均1パーセント以上、全体のパフォーマンスが上がり続けているということだ。エンジニア側からすれば自分自身の価値が毎週1パーセントずつ削られて続けていることに他ならない。これは非常に大きな時間軸の圧力である。
半導体業界がムーアの法則に則る以上、ほっといても性能は向上する。来年になれば、性能が倍の物が同じ価格で買える、あるいは同じ性能の物なら半額になる。性能を容量と言い換えてもいい。
同じ物が安く買えるというのは、最小限のリソースという点では良いことのように見えるが、それはあくまで客の立場での話であってエンジニアの立場ではない。この業界に関わるエンジニアにとって、給料の源となる物もまたムーアの法則の支配下にあるのだ。もし同じ物を同じ時間をかけて作ったとしたら、それは自分の給料が半分になることに等しい。
それがわかっていないエンジニアが多くてね、嫌になっちゃうよ。自称「アーテイスト」なんて人もいたし。
それよりも、半導体はもう、ほとんどありとあらゆるトコロに入り込んでしまったので、世の中のかなりのものが今までにない勢いで時間とともに価値を失っていく。
いまやフツーの人でも走っていないと同じ場所に立ち止まっていることすらできない。昔からずっとそうだったんだけど、最近はフツーの範囲と走る速さがとんでもなくなってしまった。
2 件のコメント:
こんばんは
「黒猫と桜とムーアの法則」繋がりでやって来ました。
「モノが出来る過程」≪「結果」という具合に、モノさえ出来ればさほど重要ではないという世の中なのは、時代の流れなので致し方ないですよね。
でも、J-7SYSTEMの長船さんは言っていることとヤッてることが少し違うような気がします(笑)
長船さんのWebページを見る限り、長船さんは3Dレンダラを自分で書いているようです。 どこかの人達のように、基板だけ買ってコネクタに差し込んで作った自作パソコンのようなモノとは違うような印象を受けました。
3Dも基礎技術を会得している人がある程度出来上がったモノをくっつけて実装するのはOKだと思いますが、巷で流行っている「くっつけシステム開発」が全てOKということになると、日本のモノ作りはダメになってしまうと思うのです。
そういう意味で、私は長船さんのFPGAに載せた3Dモデリングシステムは、動くという以外にも価値あるものだと感じました。
たけくんさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
フツーの人がフツーに使うものは、「モノが出来る過程」なんていちいち気にしませんからね。マイコンもあまりにもフツーになってしまって。
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> 巷で流行っている「くっつけシステム開発」が全てOKということになると、日本のモノ作りはダメになってしまうと思うのです。
その通りだとは思うのですが、一般の個人or小さな組織レベルだと、開発に費やす時間まで含めたコストパフォーマンスで既存のブラックボックスに対抗できる部分は非常に小さくなってしまったと思います。インターフェースの付録の FR-60 基板なんか、初期の 8bit パソコンの H/W スペックを完全に凌駕していますから。
私は、フツーの人は一つか二つは他人より優れた才能をもっていると思っています(それに気づいて使えているかは別)。その一つ二つが非常に優れているとか、そこそこ優れたものを三つ四つ持っている人は見たことがあるのですが、五つ六つの分野で優れいていてその中の三つ四つが非常に優れている人はまず見たことが無いので、思わず感動してしまったわけです (^^;
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ブログ拝見しました。10年以上昔、8086ベースのワンチップ CPU を使ったシステムをRS-232C 経由のリモートデバッガを使って開発していたこと思い出しました。
当時はまず CPU を動かして(^^;、それからシステムごとにカスタマイズしたターゲットプログラムをライタでROM に書き込んで、コマンドラインからセコセコとデバッグをしていました(会社が貧乏で ICE を買ってくれなかった (^^;)
フツーなオイラは完成を心待ちにしています (^^/
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